支配人・竜巻野郎が愛して止まない映画だけを上映する、webの中のミニシアター「快楽座」へようこそ!
1週間のお休みを頂き、今月のテーマは何にするかをじっくり考えた。
「快楽座」らしいテーマとは・・・やはり「セックス」ということになるのかな?
というわけで、今月は【ザッツ・セクシャルエンターテイメント!】と銘打ち、「セックス」をテーマにした映画の特集上映を行う。
第1週目は「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」をお送りする。
ウディ・アレンといえば「アニー・ホール」「マンハッタン」といったお洒落な恋愛もの、「ハンナとその姉妹」「ラジオ・デイズ」「世界中がアイ・ラヴ・ユー」などの群像ドラマ、「インテリア」「セプテンバー」「私の中のもうひとりの私」といったシリアスもの、そして「カメレオンマン」「ギター弾きの恋」といったセミ・ドキュメンタリー風ドラマなど、「いったいこの人の引き出しはどれくらいあるの?」というくらい、多岐にわたるジャンルに挑戦する才人だ。
そんな彼の原点といえるジャンルは「コメディ」。
初めての監督作「泥棒野郎」から5作目「愛と死」までは、スラップスティックなコメディが続く。
彼のコメディはツボにはまれば滅法面白いが、滑りまくったハズレも多々ある。
これはコメディに限ったことではないが、ウディ・アレンは偏執病的な凝り性のように思える。
1つの文法、手法にこだわり、それをとことん極める。
例えば監督デビュー作「泥棒野郎」は、架空の泥棒の生涯をドキュメンタリー・タッチで描いたコメディだ(そんなもの、ウディ・アレン以外の監督作で観たことがない)。
シーンの合間に主人公、その両親、妻、関係者たちのインタビュー(もちろん、その役として)を挿入する徹底ぶり。
こうした姿勢が「三振」か「ホームラン」か、という結果を生みだしているのではないか。
さて、本作「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」(長いタイトルだ。)は、セックスをテーマにした小編を集めたオムニバス映画。
各エピソードのタイトルは以下の通り。
「媚薬の効能」 Do aphrodisiacs work?
「ソドミーって何?」 What is sodomy?
「エクスタシーは所を選ばず」 Why do some woman have trouble reaching an organism?
「女装の喜び」 Are transvestites homosexuals?
「これが変態だ」 What are sex preverts?
「SF/ボイン・パニック」 Are the findings of doctors and clinics who do sexual research and experiments accurate?
「ミクロの精子圏」 What happens during ejaculation?
上記のリストを見てもらえば分かるとおり、本作は軽いノリのB級コメディだ。
どぎついセックス描写は全くなく、他人には言えないセクシャルな秘密を大真面目に描いていく。
特にラストの「ミクロの精子圏」の凝りようは凄い。
男が射精をする時、その内部ではなにが起こっているのかをSF映画風に、大真面目に描いていく。
「精子」役を白いモジモジくんレオタードを着た「俳優」たちが演じており、射精のコントロールセンターには当時のアクションスター、バート・レイノルズを配する徹底ぶり。
射精直前、パラシュートを背負い出撃体制に入る「精子」たちに緊急連絡が入る。
「これはマスタベだ!慌てるな!元の位置に戻れ!」涼しい顔で、馬鹿なことをさらりと描く。
むっつりスケベなウディが贈る「セックス」のフルコースをご賞味あれ。
「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」
EVERYTHING YOU ALWAYS WANTED TO KNOW ABOUT SEX (BUT WERE AFRAID TO ASK)
監督 ウディ・アレン
出演 ウディ・アレン ジーン・ワイルダー バート・レイノルズ
1972年アメリカ映画 カラー 88分
テーマ : 日記
ジャンル : アダルト