吉田戦車の料理エッセイ。
一撃必殺の「マンガ」に比べ、吉田戦車の「文章」はチクチクと少しずつ効いてくる。
まるで、ジョーが少年鑑別所でのボクシング大会で青びょうたんから受け続けたレバーブローみたいな感じ。ぐっ・・・レバーがぁ!
「逃避めし」とは、締め切りが迫る非常時につい作ってしまう創作料理。
凝った味付けや調理はほとんどせず、いかに手を抜いて美味いものを作るかがポイント。
基本は1人か2人でこっそりで食べるめし。
ああーーーーっ。
分かる!分かるわぁ!
俺も
「チーズめし」とか
「チキントマトカレー」とか
「ベーコンとモッツァレラチーズの味噌漬けのペペロンチーノ」とか
「いかの塩辛スパゲッティ」とか・・・数々の自己満足料理を快楽亭で紹介してきたが、こういうのを作っちゃうのは「何も今、作らなくたって・・・」という時なんだよなぁ。
とりたてて美味そうな料理は一切出てこないが、作ってみたくなる料理は多々ある。
「トマト納豆」「Tくんの納豆オムレツ」「白菜漬けの冷やし中華」「ギョソカツ」「肉みそまぜごはん」「鍋の残り汁の炊き込みご飯」「干肉の牛皿」・・・
ああ、食ってみてぇ!ではなく、ああ、作ってみてぇ!なのだ。
細かいレシピはほとんど載っていないが、感覚で作れちゃうものばかり。
ああ、台所に入りてぇ・・・
ところで。
あとがきによると、吉田戦車は娘が生まれた後、仕事場と住居を統合し、彼専用の台所は消滅してしまったらしい。
今の台所は妻の台所だ。私もたまに料理をしているのだが、あくまで副調理人であり、助手であり、皿洗いのアルバイトである。一つの台所に二人のシェフが君臨することは不可能なのだ。
吉田戦車「逃避めし」あとがきよりいやぁ。
なんだかこの文章がいちばんグッときたなぁ。
結婚したら、こんなに台所に立ちづらくなるとは・・・
口では「ありがとう」って言うんだけど、目が笑ってないんだよなぁ。
ああ、誰にも気兼ねしないで自己満料理を作れる台所が欲しい!
斉藤由貴 - 土曜日のタマネギ
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