快楽亭日乗R　逝き方、まさみの。 : 「セーラー服と機関銃」(81年映画版/06年ドラマ版)

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逝き方、まさみの。 : 「セーラー服と機関銃」(81年映画版/06年ドラマ版)

議論の余地はないと思うが、「セーラー服と機関銃」という作品で少女が機関銃を乱射するシーンは、明らかにセックスを暗喩している。薬師丸ひろ子から流れる鮮血を見よ。これは撮影中の事故だったらしいが、結果的にこのシーンの意味を強調することになった。

初めてのセックスで、汚い大人たちに「カ・イ・カ・ン・☆」と粋がってみせる薬師丸ひろ子。なんとも凛としている。

さて、長澤まさみ in 「セーラー服と機関銃」の放映が終わった。

世間では、クライマックスで彼女が吐くはずのセリフに期待が集まっていた。薬師丸ひろ子直撃世代である俺も、まさみのあの一言を心待ちにしていた！

■竜巻野郎のペニスを震わせた超特大スクープ！
【長澤まさみの「社会的にいけない」あの一言を聴くまでは】(06/06/23)

あれから5ヶ月。時の流れは早いなぁ。

結論から言うと、世間の、そして俺の期待は裏切られた。
まさか、あの一言がないなんて･･･

かいかん･･･かいかん･･･カ・イ・カ・ン・☆

だが、しかし。君よ、悲しむことなかれ。

薬師丸ひろ子と相米真二監督の「セーラー服と機関銃」という映画は「アイドル映画」という枠を超えて、日本映画の中でも屈指の名作と言っていい。

そして、そのリメイクをするということは、最初から「負け戦」であることが決まっていたのだ。

等身大の少女が、大人の世界を知る。きれいごとではなく、欲望やセックスも含めて。そんな薬師丸版「セーラー服と機関銃」と比べ、長澤版はキャンディ☆ポップな世界であった。

リアルな薬師丸版に対して、どこかフェーブルな長澤版。
ボーイッシュで清潔感を漂わせていた薬師丸ひろ子（当時）には、相米真二監督のリアルな、生き生きとした少女・星泉がマッチしていた。それに対して、誠実でほんわかとした雰囲気の長澤まさみには、少し現実離れした少女・星泉がマッチしているのだろう。

しかし、最後の最後でまさみもやってくれたよー！

誰もが期待している決め台詞を無くす。これは長澤版「セーラー服と機関銃」にとって、起死回生の策だったに違いない。偉大な前作は越えられない。そして、前作と同じことをしたら･･･ボロ負けは必至だ。

「カ・イ・カ・ン・☆」を封じて、尚且つ薬師丸越えのためにまさみが最後に持ってきたものは･･･！

4人の組員を殺された星泉は、クライマックスで機関銃を乱射！その時の彼女の表情は･･･恍惚･･･！？

なんだ？この生々しくエロティックな表情は！
リアルな薬師丸版に対して、空想しがちな長澤版は･･･エクスタシーをも空想していたというのか？

機関銃を撃ち終えたまさみは、堤真一の腕の中でぐったり。まるで、濃厚なセックスを味わった後のように。

甘いお伽噺だなぁ☆と思っていたおじさんは･･･
君のリアルなエクスタシーの表情に撃ち抜かれちまったぜ。

間違いなく、まさみはエクスタシーを知っている。
彼女の潤んだ瞳が、そう告白していた。