かつて、俺が不覚にも泣いてしまった映画といえば
「となりのトトロ」だが(キャー恥ずかしい)、約20年ぶりに映画館の暗闇の中で、涙が表面張力いっぱいいっぱいになってしまった。
映画は荒川の河原で主人公・松子の死体が発見されるところから始まる。10年も引き籠もり生活を送っていた中年女性の死。彼女のアパートの荷物整理を任された甥が、松子ゆかりの人々と出会い、不幸の坂道を駆け下りていったような彼女の人生を知ることになる・・・
人間は自分の記憶を頭の中で再構成する。第三者が見たら些細なことでも、当事者にとって重要な出来事であれば、大きな思い出として記憶に残る。嫌な記憶は頭の片隅に追いやり、楽しかったことだけを殊更クローズアップすることも出来る。まるで映画の編集のように。
そういう意味で、「映画」というメディアは、誰かの記憶を垣間見ているかのような錯覚に陥る時がある。
愛する男が自殺し、その友人との不倫関係も破綻し、自暴自棄になった松子は中洲のトルコに身を投じる。講習を受け、日々弛まぬ努力を続け、1年後には店のナンバーワンに昇り詰める松子。しかし、時代の流れに取り残され、あっという間に凋落。
この激動の日々が、Bonnie Pinkが歌う「LOVE IS BUBBLE」の旋律に乗って、たった数分で描かれていく・・・まさに、松子が再構成した彼女自身の記憶のように。
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このシークエンスに限らず、「嫌われ松子の一生」には音楽が溢れている。パンフレットを読んでいたら、収録曲は80曲!だそうだ。そして、ハリウッドの娯楽大作ばりにCGがふんだんに使用されている。
音楽とCGの洪水によって、松子にとって美しい思い出はとことんデフォルメされ、いっそ忘れてしまいたいような不幸な出来事も、我々に強烈な影を落とす。
松子が再構成した(であろう)彼女自身の人生。
客観的に見れば、窮地に立たされた時に浅知恵で乗り切ろうとし、その綻びを自ら大きくしていく・・・つまり、自ら不幸を引き寄せているようにしか見えない愚かな女の物語だ。
そんな女の一生を描いた映画が、こんなにも俺の胸を打つのは、彼女の愚かさが・・・俺自身、身に覚えがあるからだ。
記憶はいくらでも再構成できる。しかし、現実の人生で「やり直し」はできない。あの時言ってしまったあの一言、あの時やってしまったあの行為。
自らの人生を振り返ったり、反省する素振りすら見せない松子。彼女の辞書に「後悔」の二文字はない。そんな彼女が帰りたかった場所は・・・続きはぜひ、映画館で。
「嫌われ松子の一生」
MEMORIES OF MATSUKO原作 山田宗樹
監督 中島哲也
出演 中谷美紀 瑛太 伊勢谷友介
2006年日本映画 カラー 130分
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