支配人・竜巻野郎が愛して止まない映画だけを上映する、webの中のミニシアター「快楽座」へようこそ。
今月は【快楽座特別企画】ミッドサマーナイツスクリームと銘打ち、真夏の夜に相応しいホラー映画の特集上映を行っていく。
第弐夜となる今夜は「らせん」をお送りする。
鈴木光司の原作を元に映画化されたホラー・シリーズの1本。
ハリウッドでもリメイクされたこの超人気シリーズを、「フツーの人は琴線に触れないでしょってなのばかり(笑)」(
ウタマロ代表談)の
快楽座でなぜ上映するのか?
それは、本作が「呪いのビデオ」にまつわるホラー・シリーズに相応しい、呪われた映画であるからに他ならない。
現在のところ「リング」シリーズは次の6本がリリースされている。
「リング」(1998)
「らせん」(1998)「リング2」(1999)
「リング0~バースデイ~」(2000)
「ザ・リング」(2003)
「ザ・リング2」(2005)
本作「らせん」は「リング」と2本立てで劇場公開された。
もちろん鈴木光司の原作を元にした正真正銘「リング」の続編だ。
しかし、1999年に「リング2」という映画が公開されている。
はて?
「リング」のラスト・シーン。
息子を助けるため、玲子(松嶋菜々子)は父親の元へと車を走らせる・・・。
「らせん」のオープニング。
冒頭、玲子と息子の陽一が交通事故で死亡したことが分かる。
ネタバレになるから詳細は省くが、「リング」ではチョイ役だった舞(中谷美紀)は「らせん」の中で別人格の人間となる。
「リング」で死んだはずの高山竜司(真田広之)は「らせん」で復活を遂げる。
「リング2」
「リング」と同人格である舞が、死亡した高山の元妻・玲子のマンションを訪れる。
すると、行方不明となっていた玲子が陽一を連れて帰ってくる。
高山は亡霊となって(死んだまま)舞の前に現れる。
お分かりだろうか?
「リング2」によって、「らせん」は
なかったことにされているのだ。
ああ、怖ろしい。
たしかにホラーとしては「?」な出来だ。
ストーリーはむしろSFといった趣になっている。
しかし、「らせん」には「リング」と「リング2」に欠けているもの・・・ジャパニーズ・ホラーには珍しい
エロスがある。
俺は今まで中谷美紀にエロを感じたことはあまりないのだが、「らせん」での安藤(佐藤浩市)とのセックス・シーンにはグッときた。
服さえほとんど脱いでいないというのに。
そして、貞子(佐伯日菜子)と安藤のセックスも艶めかしい。
いつもはSで粗野な男を演じる佐藤浩市が、中谷と陰々滅々セックス。
そして、貞子とはひたすら攻めまくられるセックス。
さらに、擬似的な母子関係となった高山と舞・・・この2人は元々恋人関係になり、多分セックスをしていたし、これからもするのであろう。
「リング0」(「リング」の前日譚)では、まるで少女マンガのような貞子の初恋が描かれているが、十数年を経てこんな艶めかしい女になるなんて。
セックスを通し自らの怨念を蔓延させていく・・・。
この世界でいちばん怖ろしいものはセックスということになるのだろうか。
「らせん」
THE SPIRAL
監督 飯田譲治
出演 佐藤浩市 中谷美紀 真田広之
1998年日本映画 カラー 98分
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テーマ : エロス
ジャンル : アダルト