支配人・竜巻野郎が愛して止まない映画だけを上映する、webの中のミニシアター「快楽座」へようこそ。
今月は【快楽座特別企画】ミッドサマーナイツスクリームと銘打ち、真夏の夜に相応しいホラー映画の特集上映を行っていく。
最終夜となる今夜はデヴィッド・クローネンバーグの「ヴィデオドローム」をお送りする(やっとホラー企画っぽい作品の登場だね!)
「ヴィデオドローム」とは「video」と「drome(闘技場)」の合成語?
青年社長マックス(ジェームズ・ウッズ)が経営する「シビックTV」は、ハードなセックスとバイオレンスを売りにしたCATV局。
常に過激な映像を探し求めるマックスは、ある日、衛星通信を介して受信した「Videodrome」というビデオを入手する。
ただひたすら、女が拷問を受ける様が描かれた謎の映像。
「Videodrome」を観た日を境に、彼の周囲では奇妙な現象が多発する・・・。
この映画が製作された1981年当時、ビデオテープは「新しい媒体」だった。
それが今やDVDに取って代わられ、そのDVDですら次世代媒体の開発が進んでいる。
なんと時の流れの早いことか。
しかし、「ヴィデオドローム」で描かれたクローネンバーグ監督の変態性というかフェチぶりは、今観ても色褪せないほどに輝いている。
自宅のビデオデッキで「Videodrome」を観ていると、ブラウン管の中心が隆起してくる・・・これはどうみてもペニスがエレクトする状態を表している。
硬いはずのモニタの樹脂が、興奮した女のように吐息を漏らしながら波打つ。
マックスの腹が、まるでヴァギナのようにパックリと裂け、そこにビデオテープやピストルが「挿入」される・・・。
クローネンバーグの作品はストーリーが難解と言われることが多い。
本作も現実と虚構(ビデオの世界)が入り交じり、また世界観の多くが語られていないこともあり、観客たちがそれぞれどうとでも取れるようなストーリー展開になっている。
しかし、騙されてはいけない。
デビッド・クローネンバーグという人は、ブラウン管が勃起したり、モニタがエクスタシーを感じたり、腹にヴァギナを持つ男に異物挿入をしたり・・・不特定多数の人々が観る映画(ビデオ)という媒体を使って、己の変態性を露出しているに違いない。
論理的なストーリー展開よりも、そうした欲望を具象化させることを最優先させているのだ。
裸の上に直接コートを着た変態オヤジ=クローネンバーグと向き合う勇気があるならば、この映画を観るがいい。
彼がコートを脱ぎ去った時、ペニスが「何」になっているかは保証できないが。
「ヴィデオドローム」
VIDEODROME
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
出演 ジェームズ・ウッズ デボラ・ハリー ソーニャ・スミッツ
1982年カナダ映画 カラー 87分
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