快楽亭日乗R　俺のセックスも笑うな

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俺のセックスも笑うな

近所のレンタルビデオ屋で大人気の映画「人のセックスを笑うな」。

先週から観たいなーと思ってたんだけど、いつもレンタル中。
ようやく借りられた。

やっぱりこのタイトルはいいね。
誰でも知りたがってるくせにちょっと聞きずらいセックス。
それを堂々と持ってきてる上に、「もしかして露出プレイの話？」という妄想を掻き立てる。

大っぴらにアダルトビデオは借りられないし･･･でもちょっと興味あるし･･･原作は有名な小説らしいし･･･単館で公開されたアート系映画らしいし･･･なら、借りちゃえ☆

こうした思考プロセスの果てに、今、北関東でも「人のセックスを笑うな」は大人気。
でも、文芸作品という名の包皮を被った仮性エローを期待した人には、全く期待に沿わない作品である。

永作博美さんも蒼井優さんもおっぱい☆は見せません。
松山ケンイチくんは腰を振ったりしません。

これは小説「人のセックスを笑うな」の映画化。
原作と等しくバリバリの恋愛映画。
そして、井口奈己という監督が、この小説をどのように読んだか？という解題的な作品に仕上がっている。

ストーリーはあってないようなもの。
39歳の女性（永作博美）と19歳の青年（松山ケンイチ）が恋に落ちて･･･という原作と同じ流れだが、主人公に想いを寄せる同級生＝えんちゃん（蒼井優）の役割が、原作に比べて非常に大きくなっている。

シーンのひとつひとつは、ストーリーとして意味をなしていないものが多く、むしろ登場人物たちの日常の1コマを切り取ったかのように綴られていく。

そして、普通だったらここで次のシーンへ移るだろうな･･･というポイントを過ぎても、カメラは回り続ける。芝居は終わっているのに、役者がフレームアウトしてしばらく経ってから場面転換するシーンが多く見られる。

これは原作のスローな雰囲気をフィルムに焼き付けるための演出だと思われる。さらに、過剰評価かも知れないが、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の黒味と同じように、独特のテンポを生み出していて面白い。

まあ、それにしても。
この映画の女性たちはなんと魅力的に描かれていることか。
永作博美も、蒼井優も、とってもカワイイ。

永作博美は中年にさしかかった大人の女性の、蒼井優はボーイッシュだけど一途な少女のカワイさを上手く表現している。

その上･･･

永作博美は、まるで中年男性が初心な少女に仕向けるように、巧みな話術で松山ケンイチを裸にし･･･やがて自分の虜にする。

蒼井優は、まるで純情青年が好きな女子にするのと同じように、ベロベロに酔っぱらった松山ケンイチにキスしようとして･･･ぐっと堪える。

なんて男前！
永作博美も蒼井優も、男性的な行動を取りながらチャーミングなんだよなぁ。

女性が男性的な行動を取ると小気味いいのに、男性が女性的な行動を取ると･･･
松山ケンイチは正にそういう役回りなんだけど･･･厳しいね。

それはきっと、松山ケンイチが演じたキャラクターも、そしてそれを観ている俺自身も、「男は男らしく」という鎧を身に付けているからに他ならない。

神様にセックスを見られて困るのは、女性ではなく男性なんだよな。

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「人のセックスを笑うな」
Don't Laugh At My Romance.
監督井口奈己原作山崎ナオコーラ
出演永作博美松山ケンイチ蒼井優
2007年日本映画カラー 137分
ハピネット・ピクチャーズ
08/07/25 Release!
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