快楽亭日乗R　見知らぬ東京･見知らぬあなた : ロスト･イン･トランスレーション

スポンサーサイト

上記の広告は１ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--------(--:--) :
スポンサー広告 :

見知らぬ東京･見知らぬあなた : ロスト･イン･トランスレーション

「最近、DVDで日本映画ばかり観てるよ」
「えー。なんで？」
「洋画は字幕があるじゃん。読むのが面倒なんだよね」
「おじさんだね！」
「うん」
「そういえばこの間、一緒に観たのも日本映画だし。『ザ・マジックアワー』面白かったね！」
「そうだね」
「ホントは『僕の彼女はサイボーグ』がよかったんじゃない？」
「いや」
「綾瀬はるかだし」
「『ザ・マジックアワー』にも出てたからいいよ」
「あ！これ観たいな。洋画？日本映画？」
「日本が舞台っぽいけど、アメリカ映画だね」
「そっかー。でも観たい」
「うん」
「そうだ！吹替え版で観ればいいじゃん！」

そうは言うけれど。
テレビ放映の場合を除き、よほどのことがない限りオリジナルの言語で観たい。そして、尿意などの緊急事態がなければ、「一時停止」「巻き戻し」は使わず、最初から最後まで通しで観たい。

特に深い意味はないけれど、これが俺のDVD鑑賞法。

というわけで、「ロスト･イン･トランスレーション」。

往年のハリウッドスターと魅力的な人妻。
ウイスキーのCMに出演するため日本にやって来たボブ（ビル･マーレイ）は、妻との関係に微妙な距離を感じている。一方、大学を卒業してすぐ結婚したシャーロット（スカーレット・ヨハンソン）は将来に対して漠然とした不安を覚えている。カメラマンである夫に随行して日本に来たものの、かまってもらえず疎外感も増していく。

同じホテルに泊まっているよしみで親しくなったふたりは、不思議の街・東京を彷徨う。まるで、オアシスを求めて砂漠を歩く旅人のように。

やたら英語を織り交ぜるもののほとんど意味のない言葉を話す業界人たち。電車の中で堂々とエロ雑誌を広げるサラリーマン。目が眩むほどのネオンと巨大ビジョン。耳を覆いたくなるような騒音。ゲームセンターで一心不乱にプレイする若者たち。テレビを付ければ、意味不明の奇声を上げるタレントがウケている。

東京を訪れた外国人が感じるであろう、ステロタイプな東京が映し出される。

故郷を遠く離れ、異国にいるという寂しさから、ふたりにとって東京という街はまるで意味を持たない。砂漠であるのと同等の不毛な地。一刻も早くここから離れ、故郷に帰りたいと思う。

しかし、皮肉なことに。
大した用事でもないのに電話をかけてくる妻との会話はボブにとっては騒音でしかなく、夫がファクシミリで送って来た愛のメッセージをシャーロットが読むことはない。パートナーから疎外感を感じた時、パートナーに対する意味も失っていく。

そんな似た境遇のふたりは、やがて惹かれ合っていく。
そして、何の意味も持たなかったはずの東京の風景が、美しく広がりだす。

「帰りたくない」

けれど。
かんたんにセックスをしないふたり。
大切なものを失いたくないという、中年男の純情だなぁ。痺れる。

ふたり以外に重要な登場人物は現れず、大きな事件も起こらない。
ただ、ふたりが惹かれ合っていく過程を丹念に描き上げていく。
まるで良質な短編小説を読んでいるかのようだ。

エンドロールの終盤で、はっぴいえんどの「風をあつめて」が流れる。
「キル･ビル」で「修羅雪姫」が流れた時にも驚いたけれど、アメリカの若い映画監督って日本をよく勉強しているよなー。

いいっす！いいっす！
めちゃめちゃマッチしてるっす！

はっぴいえんど - 風をあつめて

「いやー、面白かったね！」
「うん」
「それと最後のはっぴいえんど、めちゃめちゃよかったね！」
「え？はっぴいえんど？」
「うん。『風をあつめて』流れてたじゃん」
「あのさ」
「ん？」
「この映画ってハッピー・エンドじゃないんじゃないの？」
「･･･」

【Lost In Translation - Official Website】

Lost In Translation - Trailer

■ＤＭＭもっこり横丁で楽しくお買い物♪
「ロスト・イン・トランスレーション」
Lost In Translation
監督･脚本ソフィア・コッポラ
出演ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソン
2003年アメリカ映画カラー 102分
アーティストフィルム
04/12/03 Release!
［詳細を見る］［月額レンタル］[単品レンタル]