支配人・竜巻野郎が愛して止まない映画だけを上映する、webの中のミニシアター「快楽座」へようこそ。
今週は林海象監督の「夢みるように眠りたい」。
昭和初期、江戸川乱歩が描いたかのような東京。
私立探偵・魚塚は謎の老女から、誘拐された娘を探し出して欲しいと依頼を受ける。
事件を追ううちに、未完となったままの映画の存在が明らかにされ・・・。
全編モノクローム映像。
音声はサイレント(台詞は字幕、効果音、音楽のみ収録)。
「サンセット大通り」を下敷きにしたようなミステリアスなストーリー。
紙芝居、大衆演劇、見世物小屋、大道芸人といった仕掛けの数々。
そして、仁丹塔や花やしきなど、懐古的な「昭和」を思わせるロケ地。
すべては「映画を愛して止まない」というコンセプトに基づいて作られた映画だ。
林海象監督は本作を皮切りに「二十世紀少年読本」、「ZIPANG」、「アジアンビート」シリーズ(企画・脚本)、「探偵・濱マイク」シリーズ等を監督。
そのいずれもが「夢みるように眠りたい」同様、企画性が突出している。
しかし、このデビュー作を超えるような作品は今のところ作り出せていない。
映画とは、頭の中(企画)だけで作れるものではないということなのだろう。
「夢みるように眠りたい」で我々が観たものは、一瞬の奇跡だったのか?
いつか、林海象監督の「真の2作目」を見てみたい。
「夢みるように眠りたい」
監督 林海象
出演 佳村萌 佐野史郎 大竹浩二
1986年日本映画 モノクロ 81分
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