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誰が帝王を殺したのか? : 野々宮りん+バクシーシ山下監督 「M(MURANISHI)ドラッグ」



極私的AVレビュー「レビュー」とは名ばかりで、俺が観たAVの「感想」を書くコーナーだ。このAVのどんなところにエレクチヲしたのか?そして、ペニスの反り具合はどれぐらいだったのか?書いているのはただそれだけ。だから、「極私的」なのである。

さて、たったそれだけのことをなかなかまとめ切れない作品があった。バクシーシ山下監督+野々宮りん&村西とおる主演「M(MURANISHI)ドラッグ」だ。

村西とおるvsバクシーシ山下。AVといえばレンタル!という時代からのAVファンなら、このカードに胸を躍らせないはずがない。「AVの帝王」と呼ばれた男と「異才AV監督」と言われた男。それぞれの黄金期、決して交わることのなかった二人が遂に相見える!


野々宮りんのモノローグ。母親宛に書いた手紙のようなモノを朗読する。「セックスが大好きだから、AVで世界一になる・・・今日も、とってもすごい人と共演するの・・・」

彼女の声と重なるように、バクシーシが構えるカメラの前に村西とおる登場。

「ご期待に添えるか分かりませんが、村西とおる58歳、粉骨砕身頑張ります!」

カメラはバクシーシから村西へバトンタッチ。ホテルの廊下を突き進む村西の主観映像。扉を開くと、ベッドの上には恥ずかしい格好で縛られた野々宮りん。

黒バックに太いゴシック体の白抜き文字で、タイトル「Mドラッグ」がカットイン。

そこに「お待たせしました・・・お待たせしすぎたかも知れません・・・」と、村西の声。

きょえーっ!なんだ?このバカバカしいカッコよさは!
冒頭から俺の期待はいきなりMAXに!

だが、しかし。

「M(MURANISHI)ドラッグ」は、ドグマが主催している「D-1 CLIMAX」のエントリー作品として製作されたものである。そして、「D-1 CLIMAX」は「エロにこだわりを持つ優秀な監督たちが、最高にエロい女優を使って最高にエロいAVを撮り勝敗を決する」コンペである。

クローズアップされているのは村西とおるではなく、野々宮りんなのである!そして、この作品は「①野々宮りん(平成のAV女優)meets 村西とおる」と「②野々宮りんの自分探しセックス」ともいうべき2パートに分かれている(パート名は俺が勝手に付けた)。


①野々宮りん(平成のAV女優)meets 村西とおる

※このパートは全て、村西とおる自身がカメラを回し、演出もしている

いきなり「昭和」にタイムスリップ!若干老けたとはいえ、58歳にしては脂ギッシュな村西とおるの「村西監督節」は健在!「クリスタル映像」後期から「ダイヤモンド映像」時代にかけて、監督作品の中で炸裂させていたあの「トーク」が甦る!

天才的かつ破壊的なトークに、俺は抱腹絶倒だった。しかし、村西の全盛期を知らない平成のAV女優=野々宮りんにとって、このオヤジは正体不明のエイリアン?いつもの撮影と勝手が違うのか、最初はニコニコしていたものの・・・徐々にノリが悪くなっていく。

「ぶっかけ」や「中出し」など、ハードなセックスを披露してきたこのAV女優が、村西のトーク、そして、執拗な愛撫を本気で拒否る・・・!

俺にとっては衝撃だった。AVの帝王として君臨していた村西とおるは、卑弥呼桜樹ルイといった美女たちを、あの爆笑トークで血祭りに上げ、とことん恥ずかしい目に遭わせてきたではないか!「SMっぽいの好き」では、黒木香との絶妙なコラボレーションを見せてくれたではないか!

その帝王が・・・

村西はここで、別の男優を投入。かつてテレビ制作会社に所属し、誰でも知っている番組を制作していたというこの男は、未成年との淫行事件で会社を追われ、家族を失った。現在はAV制作会社に拾われ、AV男優として生計を立てているという。

村西による彼の紹介もめちゃめちゃ面白いのだが、野々宮りんにはピンとこない。そして、この男優(と言ってもほとんど素人だが)との、ごく普通のセックス。ここで、あのホラ貝(なつかしー)も登場するのだが・・・

うーむ。

続いてベッドに移動し、遂に!村西とおるv.s.野々宮りんのセックス!
ここでも村西スタイルなトークをカマしながら、玩具を使って彼女を愛撫。真面目な話、爆笑に次ぐ爆笑なのだが、相変わらず野々宮りんの反応は悪い。

ランニング+ブリーフパンツという往年のスタイルで、野々宮りんのヴァギナに挿入。そして、ワイルドな腰遣いで彼女を昇天させてフィニッシュ!

んー?

セックスが終わると、野々宮りんはバスルームへ。ベッドに腰掛けて、ペットボトルの緑茶をあおる村西。そこにカメラが近付いていく。

「監督・・・発射はどこに?」とバクシーシ山下。

そうだ。あれだけヒーヒー言わせた挙げ句、ワイルドにフィニッシュしたはずなのに、村西とおるの精液はどこへ?

「ああ、逝きそうになかったんで、途中で止めたの・・・」と村西。

がーん。なんてこったい!

たしかに、このパートは全て、村西とおる自身がカメラを回し、演出もしている。しかし、真の監督はバクシーシ山下だ。村西が監督なら、この一言は絶対使わないはずだ。

村西とおるにAV監督をさせ、その様子を「冷徹な観察者」として切り取ってみせたバクシーシ山下監督。このパートは、そんな奇妙な二重構造となっている。まるで、バクシーシが追いかけてきた「性のフリークス」のように。

帝王を殺したのは平成のAV女優ではない。
帝王を殺したのは・・・


②野々宮りんの自分探しセックス

このパートでは野々宮りんの自宅を訪れ、以前仕事をしたことがあるというスチルカメラマンとセックスをしたり、翌朝、ホテルでバクシーシ山下とハメ撮りをしたり。

セックスが好きだから、世界一のAV女優になりたいという野々宮りん。撮影では、何十人もの男優と連続生ハメ中出しといった荒業を披露しているが、プライベートでどのように「ふつうのセックス」をしたらいいか分からない・・・

V&R時代から続く、「性の障害者」ともいうべきバクシーシお得意のテーマ。

それなりに面白いが、「村西パート」に比べるとインパクトが・・・

しかし、全く異質の2パートを強引に1本にしてしまうのは、バクシーシ山下の底力といったところか。


「マスタベのオカズ」ではなく、「フリークスたちの見世物小屋」を覗いてみたい貴方にオススメの1本。これは明らかに「バクシーシ山下監督作品」だ。


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レビュー読むと面白そうなのに星少ない

まめぞうさん、こんばんわ。

マスタベのオカズとしては使えないけれど、「笑いたい」「奇妙なものを観たい」という人にはオススメ!ということですね。
Attention!



18歳未満の方の観賞には
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なるべく親、または保護者が
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  • Author:竜巻野郎
  • 北関東在住。
    娘とラーメンとアダルトビデオをこよなく愛するエロネード病原菌。
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