夕刻、珍しい人から電話があった。
「元」桜町の馴染みA嬢。
昨年末、彼女が電撃的に引退した後もメールのやりとりは続き、一度などはファミレスでお茶をした。
この時、「A嬢をセフレにしたるでー!」という野望を秘めながら、ほんの少しの勇気がなかったばかりに・・・ああ・・・
やがてメールも途絶え、彼女のことは俺の中で美しい思い出になったはずだったのだが。
「こんばんは!Aです。覚えてますか?」
「おおーっ!どうした?」
「うん・・・」
「元気?」
「うん・・・竜巻さんも元気そうだね!」
「おう!元気だよ!」
「ねぇ、最近X(A嬢が勤務してた店)ってどうなのかなぁ・・・」
「どうって?」
「実はまた働こうかなって思ってるんだけど・・・」
「えー!ホント?」
「まだ分からないけど・・・」
「そうか・・・」
「最近Xで遊んでる?」
「え・・・ああ・・・たまに・・・」
「そう・・・お気に入りの子は出来た?(笑)」
「え・・・ああ・・・Aちゃんが辞めた後はさっぱりだね」
「ふーん。そうかぁ。今度Xに行くことがあったら、それとなく様子をみてくれませんか?」
「ああ・・・いいよ・・・」
その後、他愛のない話をして電話を切った。
ちょうど今夜。
「現」桜町の馴染みY嬢に会うため、Xに出掛けるところだったことは最後まで言わなかった。
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